1. 鉄分を摂取しよう!
必要な鉄分を補充しましょう。
(鉄分が不足しがちな女性の方。男性で鉄分が不足することはほとんど無いです。)
2. 鉄分は、神経伝達物質/ホルモンを合成するのに必須
鉄分は体内において、非常に重要な役割を果たしています。体内の酸素運搬は、赤血球が担っていますが、ヘモグロビンの中の鉄イオンを利用しています。
うつ病にとって重要なのは、セロトニンやメラトニンといった、神経伝達物質/ホルモンをタンパク質から合成する際に使用されることです。(下記、たんぱく質/プロテインからの神経伝達物質の合成についての図参照。)
オーソモレキュラー栄養医学研究所ホームページより引用
セロトニンの活性の低下は、下記の記事で紹介したように、うつ病の原因と考えられています。
メラトニンは、以下の記事の通り、睡眠の質向上に非常に重要な役割を果たすホルモンです。
精神科医で分子栄養学を治療に用いている藤川徳美先生は、女性のうつ病の原因の多くが鉄不足が原因だとしており、鉄分の補充で改善したケースを著書『うつ・パニックは「鉄」不足が原因だった』で多く報告しています。
うつ・パニック障害の主な原因は「ストレス」であるとされていますが、実際のところ、心療内科や精神科を受診される女性患者の多くは、潜在的な鉄不足が原因で、うつ・パニック障害の症状が出ているケースが大半です。
藤川徳美『うつ・パニックは「鉄」不足が原因だった』より引用
3. 鉄分の推奨摂取量
鉄分は、月経がある女性の方は損失量が多いため、より多くの摂取が必要になります。また、出産でも鉄分が多く失われます。鉄分が不足すると、ヘモグロビンの不足によって貧血になったり、セロトニンやメラトニンの合成量が減ってうつ病の一因になったりします。
鉄分の多寡はフェリチン(肉体に蓄積されている鉄の総量の指標となる)の測定で判断します。
下記の図に日本人のフェリチン平均値を示します。男性は全年齢で女性より高位にあります。女性の方は、月経のある50歳未満ではフェリチン値が低く、50歳以上ではフェリチン値が高くなっています。
厚生労働省『平成20年国民健康・栄養調査』を元に作成
下記の図に、フェリチン値が低くリスクが高いと考えられる、20~49歳の日本人女性のフェリチン値分布を示します。
厚生労働省『平成20年国民健康・栄養調査』を元に作成
藤川先生は、フェリチン値30以下は鉄不足、10以下の人はかなり重篤な鉄不足であるとしており、うつ・パニック障害で先生の医院を訪れた方のフェリチン目標値を100ng/mlに設定しています。
フェリチン30以下で、かつ、赤血球の大きさを示す数値「MCV(平均赤血球容積)」が90fl(フェイムリットル)以下の場合は顕著な鉄不足です
(中略)
一方、初診時のフェリチン値が10以下の人は、かなり重篤な鉄不足と、同時に重度のたんぱく不足です。
藤川徳美『うつ・パニックは「鉄」不足が原因だった』より引用
4. 女性の方が鉄分を補充する方法
フェリチン量を測定できる医療機関は、藤川先生が下記ブログ記事で紹介しています。
うつ病の方で、フェリチン量が3.項の基準より低い場合は、鉄分の摂取量の改善が必要だと考えられます。
藤川先生の下記ブログ記事では、鉄分の補充の際は、フェロケル鉄サプリNOW社「アイアン36mg」を1日3錠飲むことを勧めています。
鉄分を摂取する際は、お茶・コーヒー・ビタミンEは、吸収を阻害するため、同時には飲まないようにします。
また、前述のように、セロトニン合成は、たんぱく質を元に鉄分を使用して成されるので、たんぱく質も同時に摂取していくのが重要になります。