うつ病から寛解して再発予防するための習慣

うつ病から寛解し再発しないように気を付けている、習慣や方法を発信していきます

【うつ病から寛解する習慣と方法】睡眠の質を向上させる習慣

1. うつ病からの回復には睡眠の質の改善が重要

下記記事にて紹介したとおり、うつ病の特徴の一つとして、睡眠障害が挙げられます。

また、睡眠不足がうつ病発症リスクを高めるという研究もありますので、睡眠の質を向上させることは、うつ病改善に重要な点の一つであると考えられます。

不眠は、抑うつを促進する可能性がある 8。米国の大学生を対象にした縦断研究では、卒業生 1,053 人を平均 34 年間、最長 45 年間追跡し、学生時代に不眠を有する者では、その後にうつ病を発症する危険性が高いことが示されている 11。この研究では、追跡 18 年以降にうつ病を発症している者が多く、この長い期間を考慮すると、不眠とうつ病とが同一の病態に含まれ、不眠がうつ病の前駆症状と考えるより、不眠を有する対象者においては、新たな病態であるうつ病が発生しやすいと解釈した方が自然と考えられる 11

 

厚生労働省『健康づくりのための睡眠指針』 P.5より引用

https://www.mhlw.go.jp/file/06-Seisakujouhou-10900000-Kenkoukyoku/0000047221.pdf

睡眠をとれて生活リズムが整っていることは、うつ病患者が復職する際の、心療内科医や産業医の判断材料にもなります。僕も心療内科に通っていたときは、毎日の睡眠記録をつけるように言われていました。

2. 睡眠の質を向上させるための習慣と方法【重要】

睡眠の質を向上させるためには、どうすれば良いのでしょうか?

以下の習慣でできるものを段々取り入れていくと、熟睡できます。

2.1 朝やった方が良いこと

  • 朝起きたら、朝日を浴びる。カーテンを開け、太陽光が入ってくるようにする。

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2.2 夜やった方が良いこと

  • 寝る前に、風呂に入る。
  • 寝る前に、ストレッチなどの軽い運動をする。
  • 夕方以降は、カフェインは飲まないようにする。
  • 大量の酒を飲まないようにする。
  • 寝る1時間前以降は、タバコを吸わないようにする。
  • 寝る前に、ブルーライトを見ないようにする。(携帯、パソコン、TVを使用しない)

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2.3 全般的にやった方が良いこと

  • 日中に運動をする。
  • タンパク質を食事、プロテインから摂取する。

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3. 前項の習慣が睡眠の質の向上に良い理由

3.1 メラトニンの効果

メラトニンというホルモンが熟睡を促しています。メラトニンは人体が光を検知すると減少し、暗くなると増加します。起きた後に、太陽の光を浴びることにより、メラトニンの分泌を減少させることができます。メラトニンの分泌を日中に減らすほど、夜にたくさん分泌させ、熟睡することが可能です。

メラトニンには、起きている間に減らせば減らすほど、暗くなったときにたくさん分泌されるという特徴があります。

 

菅原洋平『あなたの人生を変える睡眠の法則』P.85より引用

 

また、入眠前にブルーライトを浴びてしまうと、メラトニンの分泌を阻害され、睡眠に悪影響を及ぼします。

ブルーライト[訳注:パソコンやスマートフォンのLEDディスプレイやLED照明に多く含まれる波長が380~500nmの青色光]にはメラトニンの分泌を抑える特殊な効果がある。

 

アンデシュ・ハイセン『スマホ脳』より引用

 

豆や豆製品・牛乳・ナッツ・魚類・肉類などから得られるタンパク質が、体内でのメラトニン合成の元となります。

3.2 深部体温の効果

身体の深部体温が下がるほど、眠くなります。深部体温は、上がった分だけ大きく下がろうとします。入眠前に入浴することで、深部体温を下げ、眠りやすくなります。同様の理由で、入眠前にストレッチや軽い運動をするのも良いです。

寝る90分前に入浴をすませておけば、その後さらに深部体温が下がっていき、皮膚温度との差も縮まり、スムーズに入眠できるということだ。

 

西野精治『スタンフォード式最高の睡眠』より引用

 

3.3 運動の効果

運動をすると、睡眠の質が高まると言われています。ただ、入眠前の激しい運動は覚醒につながるので、注意が必要です。

日本人高齢者を対象にした横断研究では、1 日 30 分以上の歩行を週 5 日以上実施してい る人や週 5 日以上の習慣的な運動をしている人では、入眠困難や中途覚醒の有訴者率が低 いことが示されている 1。また、同集団を 3 年間追跡した縦断研究では、週 5 日以上の習慣 的な運動を行っている者では中途覚醒の発症リスクが低いことも示されている 1

 

厚生労働省『健康づくりのための睡眠指針』 2014  P.24より引用

https://www.mhlw.go.jp/file/06-Seisakujouhou-10900000-Kenkoukyoku/0000047221.pdf

 

3.4 カフェインの睡眠に及ぼす影響

カフェインには覚醒作用があるので、夕方以降に飲むのは控えた方が良いです。利尿作用で夜間に起きることにもつながります。カフェインはコーヒー、お茶の他に、清涼飲料水(コカコーラ、ペプシ、マウンテンデュー等)や、栄養ドリンク(モンスター、レッドブル、リポビタンD、眠眠打破等)にも含まれています。

カフェインは覚醒作用を持っており、コーヒー、緑茶、ココア、栄養・健康ドリンク剤などに多く含まれている 38,39。夕方から就寝前のカフェインの摂取は、入眠を妨げたり、睡眠時間を短くさせたりする傾向がある 40。また、カフェインは睡眠を浅くすることも知られている 9。ヒトを対象にした生理学的研究から、カフェインは摂取してから 30 分~1 時間後に血中でピークとなり、半減期は 3~5 時間とされている 38。運転のシミュレータを用いた実験では、カフェインの効果は、3 時間程度持続することが確認されている 41。また、カフェインは利尿作用も持っており 42、夜中に尿意で目が覚めることにもつながる。

 

厚生労働省『健康づくりのための睡眠指針』 2014  P.5より引用

https://www.mhlw.go.jp/file/06-Seisakujouhou-10900000-Kenkoukyoku/0000047221.pdf

3.5 タバコの睡眠に及ぼす影響

タバコに含まれるニコチンには覚醒作用があるので、就寝前の喫煙はしない方が良さそうです。

たばこに含まれるニコチンには比較的強い覚醒作用があり、喫煙によって不眠が引き起こされる可能性がある 30。いくつかの横断研究では喫煙本数が多いほど不眠の割合が多いことが示されている 31,32。喫煙により摂取されたニコチンは約 1 時間程度作用するため、就床 1 時間前の喫煙や睡眠の途中で目が覚めた際の喫煙は避けた方が良い。喫煙には、寝つきを悪くするだけでなく、睡眠の質を悪化させる影響があることも指摘されている。6,442 名を対象に夜間睡眠中の脳波を調べた横断研究では、喫煙者の睡眠は非喫煙者の睡眠に較べて、浅い睡眠が多く、深い睡眠が少ないことが示されている 33

 

厚生労働省『健康づくりのための睡眠指針』 P.26より引用

https://www.mhlw.go.jp/file/06-Seisakujouhou-10900000-Kenkoukyoku/0000047221.pdf

3.6 アルコールが睡眠に及ぼす影響

飲酒をすると、眠りが浅くなる傾向があるようです。

短期的な介入研究では、飲酒によって睡眠前半のレム睡眠は減少し、睡眠全体の中で浅いノンレム睡眠である段階 1 の睡眠が、特に睡眠後半に、増加することが示されている 15。また、連続 5 日間飲酒による影響をみた介入研究では、日を追って段階 1 の睡眠が増加することが示されている 16。なお、飲酒によって、睡眠時間が減少することも示されており 17、これらの研究によって、長期的には飲酒が睡眠を質・量ともに悪化させることが示されている。

 

厚生労働省『健康づくりのための睡眠指針』 P.25より引用

https://www.mhlw.go.jp/file/06-Seisakujouhou-10900000-Kenkoukyoku/0000047221.pdf